株式会社エスワンオーインタラクティブ
トレーディングデスク事業で市場を牽引!
マーケター視点で経営全体捉えた
課題解決を。

運用型広告事業の成果を左右する“運用”において、重要な役割を果たしているトレーディングデスク事業。その市場を牽引しているのが株式会社エスワンオーインタラクティブです。独自のサービスを開発し業界のトップランナーとして走り続ける同社ですが、実は「人」の教育に力を入れている点でもユニークで挑戦的な試みをしているのだとか。今回は代表取締役社長の高瀬大輔さん、そして管理局 人材開発チームの渡邊裕太朗さん、岡村有紀子さんに同社の事業の先進性、そして求める人材像についてうかがいました。

企業に寄り添い課題解決。 トレーディングデスク事業で市場をリード

ーー御社は、いち早くトレーディングデスク事業を手掛けていらっしゃったことで注目されています。
なぜ、他社よりも早い時期から事業を手掛けることができたのでしょう?

高瀬氏 実は当社の前身となる会社がありまして、そこではアパレルと広告という業種の異なるふたつの事業を行っていました。アパレル事業は在庫管理などのコストがかかる事業なので、そのコストを広告事業の売上でまかなっていたのですが、2011年に広告事業として行っていたトレーディングデスクを主要事業としてリスタートしました。これがエスワンオーインタラクティブのはじまりです。

ーービジネスの世界には「先行者利益を獲得して、そのまま独走」という勝ちパターンがありますが、トレーディングデスク事業における先行者利益とは、どんなものがあるのですか?

高瀬氏 ふたつの要素があります。第1に挙げられるのは、トレーディングデスクのノウハウの蓄積によって、広告運用の集計フォーマットやデータと連係したシステムの組み込みなど、広告・マーケティングにおける当社独自の手法を体系化した形で持っていることです。

現在当社は月に70社のベンダーと取引し、月平均35前後の異なる種類の広告を運用していますが、現時点でこれほど広範囲のニーズに同時に対処できる会社は他にはないでしょう。今までのノウハウの蓄積と独自のシステムがあるからこそ実現していることだと思います。

先行者利益は時間とともにコモディティ化して個性を失っていくパターンもあると思いますが、トレーディングデスクが日本で生まれたのは2011年でまだ10年も経っていませんから、スタート時期の数年の違いが差を生み出しているとも思います。

ーー市場においてトレーディングデスク事業をいち早く取り入れたからこそ、実績を積むことができ、他社に負けない御社独自のノウハウへとつながっているのですね。2つめの利点はなんでしょうか。

高瀬氏 第2の利点は、「人」の力です。クライアント(広告主)の多様なニーズに私たちが持つさまざまな手法を当てはめていくためには、それぞれのクライアントに合わせて個別に戦略を考え、運用する必要があります。つまり、より高度な専門知識を持つことはもちろん、クライアントの事業にいかに寄り添えるかが重要です。一緒に目標の達成を目指し、課題解決に導く能力が問われるのです。これまで多くの実績を積んできた当社には、ノウハウだけでなく、クライアントのことを第一に考えられる能力の高いスタッフが集まっているため、対応できる領域が広がっています。

ーー高度な専門知識を持つだけでなく、クライアントと深くお付き合いをしながら課題解決に取り組まれているのですね。

オフラインとオンラインの相関分析を行い、企業と二人三脚で支援する

ーーエージェンシー側の依頼に応えるアウトソースの案件だけでなく、広告主がトレーディングデスクを行う際にインハウスでサポートを行っているのも御社の特色だと思います。現在、市場の中で御社のようにアウトソースとインハウスのどちらも行っている企業はほとんどないように思いますが、いかがでしょうか。

高瀬氏 そうですね。私たちがなぜインハウスという形態に力を入れているかというと、私たちのトレーディングデスクの技術を充分に発揮するには、先ほども申した通り「クライアント(広告主)の事業に寄り添う」ことが不可欠だからです。クライアントのニーズは、単に「商品やサービスの売上を伸ばす」というだけでなく、「原価を抑えて粗利率を引き上げたい」ですとか「目標売上高をどこに設定するか知りたい」といった、企業経営の全般に関わることに及びます。こうした経営にも関わるニーズに応えるための技術やノウハウは、企業の事業に寄り添ってこそ活きてくると思っています。

最近では、クライアントのほうから「エージェンシーに払う広告コストを抑えたいので自社のデジタルチームを強化したい」、「総合広告代理店からデジタル領域に関する提案を受けたのだが、一度エスワンオーインタラクティブさんに相談したい」といった依頼も頂くようになりました。クライアントに向けて勉強会を開くもありますし、当社の社員を派遣することもあります。

ーー企業のデジタルマーケティングをお手伝いするというよりも、企業の経営にも関わる事業を行うデジタルマーケティングチームの一員として、厚い信頼を得られているのですね。

高瀬氏 おかげさまで、信頼していただいています。マーケティングの支援をするのであれば、オンラインだけの知見では足りません。例えば新商品や新サービスをローンチするとき、イメージキャラクターとなるタレントをアサインして記者会見を開き、テレビCMや電車の車内広告などさまざまな広告物を制作してPR活動が行われますよね。私たちはその中で、オンライン広告、すなわちインターネットの領域での運用を担当するわけですが、「ローンチのタイミングに合わせてすべて広告を最適化して、売上を伸ばしてください」と依頼されます。

つまり、私たちは実際にテレビの枠の買い付けや、新聞や雑誌などの印刷物の制作をするわけではないですが、どの分野にどれだけの広告費を投下すればいいかを判断するためにはオフラインの領域にも立ち入っていかざるを得ない。だから、オフラインとオンラインの相関分析を行う取り組みを開始しました。その分析の結果「今はテレビの予算を増やしたほうがいい」という結果が出れば、オンライン広告の予算が削られることになっても、「それでもいい」という判断を下すべきなのです。だから、社員には「単なる(管理画面の)チューニング屋にはなるな。トレーディングの専門家として、つねにマーケターの視点で市場を見ながら、何がベストなのかを判断できるようになれ」と伝えています。

“人に価値をおかないと勝てない”徹底した教育カリキュラムを開発

ーーそのような優秀なスタッフで構成されている御社には、手厚い教育制度があるとうかがっています。それもまた、御社の強みにつながっていると思うのですが、どのような制度を取り入れていらっしゃるのですか?

渡邊氏 そうですね、教育制度にも力を入れるようになりました。まず、「基礎知識」「業界知識」「応用技術」の3つに分かれています。「基礎知識」では、広告に関するテクノロジーの仕組みをひと通り学んでもらいます。未経験者の場合ですと、たとえば「インプレッション」とか「CTR(クリック率)」といった業界の初歩的な専門用語の解説からはじめます。

「業界知識」は、現在の業界内での主要プレイヤーの成り立ちや市場全体の構造がどのようになっているのか、これまでの変遷の解説ですね。そして「応用技術」では、広告を運用する手法を10数通りのケースにまとめ、ケーススタディとして模擬的に実践します。ここで実際にクライアントに提案ができるスキルを身につけるのです。特にこの部分のカリキュラムは、当社が独自で開発したもので、他社に負けないほど体系化されていると自負しています。 基礎から応用までしっかりと組まれているので、経験者の方でも、入社後に自分のスキルを見直して、弱い部分を鍛えていただくことができます。

ーーなぜ教育制度に注力するようになったのでしょうか?

高瀬氏 この教育カリキュラムをつくった当初、トレーディングデスク事業と銘打っている会社がまだ市場に少なく、事業をどう成長させていけば良いか、どこに強みを置けば良いかの答えが明確になっていませんでした。

その答えを探していくうちに行きついたのが、“人に価値をおかないと勝てない”ということでした。そこで人に価値を置いて事業を成長させている企業は、他にどんな企業があるのかを調べるとコンサル系のファームが多く、そこで彼らの教育体制を詳しく追求すると、「徹底したOJT」「圧倒的なナレッジマネジメント(フレームワークの体系化)」、この2つを徹底していました。つまり、誰よりもどこよりも早く人が一人前になって、高い水準で均一化できるかどうかが事業のコアになると気づき、当社でも教育制度づくりに着手したのです。

クライアントのために受注を断る!? マーケティングトレーダーは人柄も大切

写真は左上から時計回りに高瀬大輔氏、渡邊裕太朗氏、岡村有紀子氏、弊社キャリアコンサルタント

ーーエスワンオーインタラクティブさんで優れた「マーケティングトレーダー」になるには、どんなスキルが必要ですか?

高瀬氏 スキルがあるに越したことはないですが、スキルは当社で経験を積むことで身につきます。大事なのはやはり「人柄」でしょう。相手の立場で考えられること、他責にしないこと、これは必須条件です。クライアントに向き合い、問題意識を共有して良い関係性を築いていけるかどうかは「人柄」にかかっていますね。

場合によっては、広告の運用を依頼してきたクライアントに対して、それがもし効果が期待できないものであれば、たとえ当社の利益にならなくとも「今はオンライン広告に予算を投入する時期ではないので、発注しないほうが賢明です」と言える人材でなければなりません。

ーーこうした人材へのこだわりが、御社の「心に響く喜びを。」という企業理念の実現につながっているのですね。

高瀬氏 そうですね。それからもうひとつ、「変化」を楽しめるかどうかというのも大事な要素かもしれません。たとえば10年前にタイムスリップすることができて、当時の人々に「スマートフォンを使って無料でチャットや通話ができるLINEというアプリを利用するようになりますよ」と教えたら、どのような反応が返ってくるでしょうか。

世の中は、ものすごい勢いで変化し、これまでになかったモノやサービスが次々と生まれています。そうした変化をプレッシャーに感じるのではなく自ら楽しめる人は、当社で活躍できるはず。広告やマーケティングが今後さらに発展するその最前線で、より深く多くの経験を積むことができるはずです。

ーー変化を楽しめる人こそ、デジタルマーケティングの成長とともに、自らも成長できる人なのですね。さきほど教育制度に注力されているとうかがいましたが、具体的にはどのようなキャリア形成が見込めるのでしょうか。

渡邊氏 まず、当社では「マネジメント」と「プロフェッショナル」、2つの選択肢があります。年次を重ね、プレイヤーだけでなくマネジメントのスキルも身につけたいという社員もいますし、今持っているスキルの専門領域が強い社員の中には、マネジメントを習得するよりも専門領域のスキルを極めたいというタイプもいますので、どちらかを選べるようにしているのです。プロフェッショナルを目指す社員には、将来イベント登壇や寄稿などもできる人材に成長してほしいですね。

岡村氏 「ジョブチャレ」という人事制度も設けています。1部署に1年以上在籍した社員は、「他の部署でチャレンジしたい」と手を挙げることができる制度です。

たとえば、これまで営業をやっていた社員が「運用を学びたい」と異動を希望することも多いですし、逆に運用をやっていた社員が「営業まで手を伸ばしたい」と手を挙げることもあります。また、「データの分析官としてさらに専門性を高めたい」という社員もいるので、スキルアップの支援もしています。

ーー自分の専門を極めることもできるし、志向や興味が変わっても、また違うスキルを身につけることができるのは、とても良い環境ですね。ちなみに、御社をお訪ねすると社員の皆さまが和気あいあいとしていて、風通しがいい雰囲気が伝わってくるのですが、雰囲気づくりの上で何か心がけていることはあるのでしょうか。

岡村氏 そうですね、取り組みの一つに「部活動支援制度」があります。公認の部活に「サバイバルゲーム部」「ゴルフ部」「映画部」がありまして、その公認条件が「部署をまたいだメンバー構成にすること」なのです。これから社員も増えていくにつれて、部活も今以上に増えていくでしょうね。

あと、「シャッフルランチ」というランチ代補助制度もあり、この制度もまた、「部署をまたいだメンバー構成にすること」が条件になっています。

ーー「部署をまたいだメンバー構成」という条件は素敵ですね。仕事以外の部分で良いコミュニケーションをとれると、仕事にも活かせるのでしょうね。あらためて、御社の風通しの良さの理由がわかったような気がします。

御社は、市場で先陣を切るだけでなく、これからの市場の変化もつくり出していくのでしょうね。さらなるご活躍がとても楽しみです! 今日は有意義なお話をどうもありがとうございました。